ピアノの仕組みーペダルの種類と意味②〜アップライトピアノのペダルの仕組みとその使い方〜

こんにちは。木山音楽教室ピアノ講師の石田真亜沙です。

ピアノの仕組みシリーズ、第五回目の今日は、アップライトピアノのペダルについてお話します。 

現代のアップライトピアノには、グランドピアノと同様に3つのペダルがあります。

演奏者から見て右側から順番に、

ダンパーペダル
弱音ペダル(マフラーペダル)
ソフトペダル

となります。 

まずは右側のダンパーペダル。アップライトピアノのダンパーペダルは、グランドピアノと同様、鍵盤を離しても音を伸ばすために、一時的にダンパーを弦から離すという機能を持っています。ラウドペダル、フォルテペダル、サスティニングペダルとも呼ばれます。

続いて、真ん中の弱音ペダル。マフラーペダルとも呼ばれます。グランドピアノではこの真ん中のペダルはソステヌートペダルとなっていましたが、このソステヌートペダルはアップライトピアノにはありません。
この弱音ペダルを踏むと、フェルトのカーテンがハンマーと弦の間に降りて、フェルト越しに弦をたたくことになり音はほとんどなくなります。

この機能は音楽的なものではなく、ご自宅で夜遅くにピアノを弾きたいけどご近所に迷惑が…家族があまり大きな音を出さないでというから…などの家庭的な事情から生まれたペダルです。 

因みに、1800年頃は、楽器に音色や表情を求めていたので、これに近い機能がグランドピアノにもありました。薄い絹のカーテンでハンマーの柔らかさが変わり、音量は多少小さくなり、音色が変わるというものです。現代のピアノにはこのような機能はなくなってしまいました。

最後に、一番左側のペダル、これはグランドピアノ同様ソフトペダルと呼ばれています。ですが、アップライトピアノの場合は、グランドピアノのペダルと名称は同じでも機能が異なります。

グランドピアノのソフトペダルが、鍵盤ごとハンマーの位置をずらすことで音色を変化させていたのに対して、アップライトピアノのソフトペダルを踏むと、ハンマーの位置が弦に少し近くなり、ハンマーを叩く勢いが弱まり音が弱くなるという仕組みになっています。なので、グランドピアノのように、音が柔らかくなるなどの音色の変化はありません。 

電子ピアノ楽器にもペダルがついているものが多くありますが、楽器によって機能も違うので、いろいろなピアノを試してみるのも良いですね。 

さて、ここで余談ですが、19世紀初めのウィーンでは、特殊効果を出すペダルを複数備えたピアノが人気がありました。

出典:西洋音楽史再入門 4つの視点で読み解く音楽と社会 村田千尋

ペダルを踏むと同時に太鼓や鈴の音が鳴ったり、弦に布や紙を触れさせたり、布越しに叩いてファゴットや弦楽器の音を鳴らしたりと、様々な音色を作り出すペダルが存在しました。

いずれもこの先のピアノの単純化に伴いなくなってしまいましたが、現代だとエレクトーンなどの電子楽器に引き継がれていますね。 ペダルも構造や鍵盤と同様、ピアノの単純化、改良に伴い変化し、今があります。

ご自宅にアップライトピアノかグランドピアノをお持ちの方は、ぜひ蓋をあけてペダルを踏み、中で何が起こっているか確かめてみてください。演奏の上達にもつながりますよ。


さて、ここでピアノの仕組みシリーズを一旦終了し、次回は、木山音楽教室ももうすぐ発表会ということもあるので、演奏会の始まりについてのお話をしたいと思います。

石田真亜沙
(センター南教室・ピアノ/絶対音感/ソルフェージュクラス担当)

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