音楽エッセイ|肖像画が音楽のイメージを決める!?ヨハネス・ブラームス

「ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms、1833年5月7日 – 1897年4月3日、ドイツ)」

小中学校の音楽室には必ずある「音楽家の肖像画」は、大変罪作りなものと思います。

特に、太って、いかめしく、髭もじゃのブラームスの肖像画は、彼の音楽のイメージまでも固定してしまうようです。

ブラームスの肖像画

例えば彼の交響曲第1番ハ短調(Op68)第1楽章のおどろおどろしさが肖像画のイメージと重なり、彼を晦渋難解な作曲家と思わせてしまっている気がします。

私も最初の内は敬遠気味でしたが、交響曲第2番ニ長調(Op73)第1楽章のホルンの導入部を聴いた途端、清々しさと突き抜けるような広がりを感じそれまでのイメージが一変しました。

たまたまその頃ある本に掲載されていたブラームスの20歳頃の肖像画を見ると、それはなんと音楽室の肖像画とは似ても似つかぬとてもハンサムな金髪の美青年の姿でした。

ブラームス20歳頃の肖像画

ブラームス20歳というと、丁度シューマン夫妻を初めて訪問しその知己を得た頃であり、シューマンの妻クララに生涯変わらぬ恋心を抱き始める頃です。

熱情的で美青年のブラームスをイメージすると、これまで聴き逃していたブラームス特有のロマンティシズムが聴こえるようになり、気分が落ち込んでいる時には好んでブラームスの曲を聴くようになりました。

しかも、ブラームスは晩年になるに従って、内省的にはなるもののロマンティシズムの香りは益々強くなっていったように思います。

特に私は、ヴァイオリンソナタ第3番(Op108)、3つの間奏曲(Op117)、6つの小品(Op118)、4つの小品(Op119)、クラリネットソナタ第2番(Op120)といった晩年の作品を愛聴しています。


ただ残念なのは、ブラームスのウィーンでの住居に近いカール広場にある大きなブラームス像は、相変わらずあの髭もじゃの太った姿であったことです。

ウィーン・カール広場のブラームス像


>>教室TOP