こんにちは。木山音楽教室ピアノ講師の伊藤瑞基です。
今日はピアノのペダルについてお話ししたいと思います。
グランドピアノには3本のペダルがついています。皆さんそれぞれの役割を知っていますか?
まず1番右のペダルは「ダンパーペダル」と呼ばれ、ピアノを演奏する中で最も使用されるペダルです。このペダルを踏むと、ダンパー(弦の振動を抑える装置)が弦から離れ、音が響いたまま持続されます。
楽譜にあるPed.の記号(文字)は、このダンパーペダルを踏むことを意味します。
続いて中央のペダルは、「ソステヌートペダル」という名称です。
こちらもダンパーペダルと同じく音を保持する機能を持ちますが、ダンパーペダルが全ての弦を開放するのに対し、一部の音だけを持続させることができます。ダンパーペダルに比べると使用頻度は圧倒的に少なくなります。
またアップライトピアノでは、この中央のペダルの役割はグランドピアノと全く異なり、マフラーペダルと呼ばれます。こちらはハンマーと弦の間にフェルトを挟むことで、音量がかなり減少する仕組みになっています。
最後に左側のペダルです。こちらの名称は「ソフトペダル」といい、弱音ペダルとも呼ばれます。
こちらは右側のダンパーペダルが響きを増幅させるのに対し、響きを減衰させる効果を持ちます。仕組みとしては、ハンマーアクションが少し右にずれることで、叩く弦の本数が減り、音量や音色が変化します。(ピアノの弦は3本、又は2本で一つの音を鳴らしています。)
楽譜にuna corda とあれば、このペダルの使用を指します。(una cordaはイタリア語で「一本の弦」を意味し、このソフトペダルを踏むことで一本の弦になることを指します)
以上が3本のペダル機能の紹介です。
これらのペダルはピアノ演奏の表現において、指の動きと同等もしくはそれ以上に重要な意味を持ちます。
ダンパーペダル一つを取っても、踏む/離すタイミング、踏み込むスピードや深さなど、ほんの少しのことで全く異なる響きを生み出します。ペダルをいかに自在にコントロール出来るかが、ピアノの音色をコントロールし、演奏の表現を深める鍵になります。
ペダルとは決してただ「踏む」「離す」だけのものではなく、熟練したテクニックが必要だということです。
レッスン内ではこれらペダルに関する細かいテクニックの指導も随時行なっています。
しかし、普段キーボードや電子ピアノで練習されている方にとっては、「ペダルで響きを作る」という感覚は中々掴みづらいかもしれません。ペダルの本当の効果は、生の楽器だからこそ生み出せるものです。
また、ピアニストは楽器を持ち歩くことができません。
それぞれのピアノには個性があり、楽器によって持つ響きは全く違うため、ペダルの加減もその都度変わってきます。その時弾くピアノがどんな響きを持っているか、常に耳を研ぎ澄ませる必要があります。ペダルの熟練に一番大切なのは、「耳」なのです。
レッスンでは、普段家で練習しているピアノとは違うピアノと環境で弾くことになりますから、この耳を鍛える絶好のチャンスです。
是非、普段の練習でも、レッスンでも、「耳でペダルを踏む」という感覚を磨いてみてください。
伊藤瑞基
(センター南教室・ピアノ/絶対音感/ソルフェージュクラス担当)