こんにちは!ヴァイオリン講師の尾崎杏奈です。
今年は暖冬ですが、急な温度低下、寒さをより感じます。
今回は前回の「ヴァイオリンの種類と選定について」の流れに引き続き、楽器(バイオリン)のメンテナンスについてお話ししたいと思います。
使用後のお手入れと保管についてですが、バイオリンはとてもデリケートな楽器のため、弾き終わったら必ず汚れをクリーニングしましょう。
基本的にはから拭きが良いとされています。
柔らかいガーゼなどの布を2枚用意し、手やあごが触れた部分の汗と、駒の周りに付いた松脂(白い粉)をそれぞれ別の布で丁寧に拭き取ります。
弓についた松脂も軽く拭きますが、毛は拭かないようにします。
注意するのは力を入れず軽く拭き取る事で、特に駒の周りはあまり指を深く入れず軽くぬぐうようにします。力が入り過ぎると駒を動かしたり板の弱い部分を破損する事がありますので、丁寧に軽く拭き取りましょう。
息をフーッと吹きかけるのは辞めましょう。息には湿気が多く含まれているためです。また、アルコール等薬品類の使用はニスを剥がしてしまうので絶対にお辞めください。汚れが酷いときには、ヴァイオリン専用のクリーナーを使って優しく汚れを拭き取ります。
日本は四季があり、梅雨や乾燥した冬等、楽器には非常に過酷な環境であるため、日々の湿気乾燥対策が重要になります。特に冬場は乾燥し、楽器へのダメージを招くので注意が必要です。
楽器の保管や演奏するための空間として理想的な湿度は、50%前後です。
乾燥対策として「ダンピット(dampit)」という乾燥予防用のチューブ(加湿材)が有名ですが、こちらはチューブの中のスポンジに水を含ませ、f字孔から差し込むことで楽器の内側から加湿をすることができます。
ダンピットを使用すると、乾燥対策だけでなく、乾燥期ならではの楽器の鳴りにくさ、音のガサつきも解消され、いつでも良い音で演奏できます。また、乾燥によるピッチの狂い(チューニングのずれ)も少なくなります。
他にもお手入れは色々とありますが、決して独断では行わず、気になるところがあれば講師や工房、楽器店に相談することをおすすめします。
大事な相棒である楽器を丁寧に扱うことで、楽器もその気持ちに答えてくれます。演奏と同じくらい大切なことですので、日頃から意識して、丁寧に楽器を扱いましょう。
尾崎杏奈
(センター南教室・ヴァイオリンクラス担当)