こんにちは。声楽/ボイストレーニング講師の大嶌美樹恵です。
皆様、声楽のレッスンで多く頂くご質問は何だと思いますか?
ベスト3をご紹介します。
【第1位】歌のレッスンは何歳から始めるのが良いですか?
【第2位】地声と裏声が上手く切り替えられないのですが、どうしたら繋がるのですか?
【第3位】歌の練習は毎日した方が良いのですか?何時間くらいしたら良いですか?
今回は、第1位の「歌のレッスンは何歳から始めるのが良いですか?」について解説したいと思います。(2位と3位についても後日解説します!)
近年、声楽/ボイストレーニングのレッスンを受ける方の年齢がとても幅広くなったと思います。
歌が上手くなりたい、いい声になりたい、音域を広げたい、とその目的は様々ですが、私がレッスンをした方々は、未就学児のお子様から80代の方まで、実に幅広い年齢層の方々がいらっしゃいました。
特にここ数年で、10歳未満のお子様が増えたと思います。
コンクールにも「幼児カテゴリー」「小学生低学年カテゴリー」があり、ピアノやバイオリンなどの器楽と同じように肩を並べていることに少々びっくりしました。というのも、私が声楽を習い始めたウン十年前は、声は身体の成長に大きく関わるから、習い始める年齢は12〜13歳から、と言われていたからです。
ポップス歌手のデビューがどんどん低年齢化されていることも影響するのか?早くから歌のトレーニングをスタートする傾向は進んできたと思います。
身体の成長と声はとても密接な関係があって、お子様の歌のレッスンはその年齢に合ったレッスンの進め方、身体と声の成長に沿ったレッスンであること、そして無理のない発声で声を大事に育てていくことに重点をおきます。それには生徒一人一人に合った選曲をすることも、とても大事です。
声楽では声の成長のピークを、女性は30歳を過ぎてから、男性は40歳を過ぎてからと言われています。
つまり、声を楽器として育てていくのは長い時間がかかり、あまり早くに結果を求めてはいけない、ということなのです。
この話を聞いた時私はまだ大学生で、途方もない長い道のりにクラ〜っとしましたが、今となっては納得できる年齢になってしまいました(笑)
それじゃあ、何歳から歌のレッスンをするのが良いのか?
私は「小学生から」とお答えしています。
なぜ小学生以上が良いのかというと、まずは身体の成長面での一区切りでもありますが、歌のレッスンは声の出し方(発声)を、自分の身体をどう使うかと学んでいきます。これがけっこう抽象的な言い方になってしまう、もしくは身体の図面など用いて難しい専門用語で医学的になってしまうのです。
自分の身体を楽器にしていくというのは、つまり楽器が一人一人異なるということで、その感覚もみんなそれぞれちょっとずつ違う。目にはなかなか見えないところをどう使うか、先生が説明し感覚で覚えていく、ここを理解出来る年齢というのが大きいと思います。
(小学校)低学年の間は、とにかく伸び伸びと歌って、歌うことを楽しんでもらうことと、基本的なソルフェージュを身につけて楽譜を読む力を身に付けてほしいと思います。
高学年からは、細かい身体の使い方に踏み込んで、声の出し方や響きの感覚をつかみ、音域を少しずつ広げていきます。
中学生から高校生は、身体も大きく成長し声も大きく成長し変わっていく大事な時期です。本格的に歌のレッスンを進めて行く一番良い時期だと思います。
身体の使い方をトレーニングして声を育て、自分の声に合った選曲をすることは、お子様に限らず大人の歌のレッスンでももちろん大切です。
声のトレーニングは何歳から始めても効果があります。
足やお腹の筋トレやストレッチを少し行っても効果があるように、声帯(咽頭)、呼吸、横隔膜運動、顔の筋肉も、日々の地道な努力を続けることで、どなたでも、何歳からでも変わっていくことができます。
逆にどんな美声の持ち主でも、何もしなければ年齢と共に声は衰えていってしまうわけです。
ボイストレーニングで少しずつ声を育てると、確実に歌いやすくなります。
歌えるということは、つまり身体が元気という証拠でもありますから、大人の方は健康のバロメーターという観点でも、ぜひ歌のレッスンをオススメします。
保護者の方々からも、子供達からも、また大人の生徒さん達からもよく寄せられる今回のご質問ですが、この記事をお読み頂いて、声楽とボイストレーニングの理解が広まると良いなと願っております。
大嶌美樹恵
(センター南教室・ピアノ/絶対音感/ソルフェージュ/声楽/ボイストレーニングクラス担当)