こんにちは。ピアノ講師の角岡里緒です。
みなさんはチェンバロという楽器をご存じでしょうか?
14〜18世紀頃に登場していた楽器で、バッハなどのバロック音楽の時代からモーツァルトなどの華やかな宮廷音楽の時代まで使われていました。
ですから、例えばバッハやスカルラッティの曲を弾く時、当時この曲はチェンバロで演奏していたんだ、ということを意識して弾いてほしいです。
このチェンバロはイタリア生まれで、ピアノと似ている翼のような形をした楽器です。(弦が鍵盤に対して平行に張られたヴァージナルやスピネットなど家庭用小型の楽器もチェンバロの仲間です)
しかし、構造・仕組みはピアノとは全く異なります。
チェンバロはハープの発音の仕組みと同じように弦をはじいて音を出す楽器です。
ハープは指ではじきますが、チェンバロはプレクトラムという爪ではじき、その素材には鳥の羽軸や動物の硬い皮などが使われています。このプレクトラムは、現代では扱いが楽なプラスチック製も多いです。
鍵盤の色はピアノと白鍵黒鍵逆になっていて、鍵盤の数は54鍵と、88鍵のピアノに比べるととても少なくなっています。
ちなみに、呼び名は国によって色々で、
「チェンバロ」イタリア語
「クラヴサン」フランス語
「ハープシコード」英語
となります。
チェンバロの起源は明らかではありませんが、中世末期からルネサンス期にオーストリアのヘルマン・ポールによって、あるいはズヴォレのアンリ・アルノーによって作られた撥弦式のクラヴィシンバルムという楽器がその初期の姿だと言われています。
その後チェンバロはフォルテピアノの興隆と共に19世紀に入ると姿を消しますが、 19世紀末にエラール社とプレイエル社が、バロック時代に作られていたものとは大きく異なるモダン・チェンバロの製作を始めます。
そして現在では、たくさんのレプリカが各国で作られていますが、 それらは全てバロック時代に作られていたチェンバロをモデルにしており、モダン・チェンバロが用いられることはほとんどありません。
ピアノとはまた違った魅力のある音色のチェンバロ、ぜひみなさんもその音を聴いて見てくださいね!
角岡里緒
(センター南教室・ピアノ/絶対音感/ソルフェージュクラス担当)