こんにちは。ピアノ講師の滝まりなです。
先日の舞子先生のブログで、調性と和音のお話がありましたね。
難しいお話で、私も子どもの頃は理解できたようなできていないような、、という感じでした。しかし、これがしっかり頭に入っていると、メロディも上手に歌えるようになるので、ぜひしっかり覚えてください✨
和音への理解がメロディ(旋律)の歌い方を良くするというのは、旋律を形作る一つ一つの音が和音に関連してそれぞれ役割を持っているからなのです。
皆さんが今、両手で別々の音を同時に弾いて練習している音楽は多くの場合、旋律とハーモニーという2つの要素が組み合わさってできています。
旋律の一つ一つの音はそのときの和音に関係して、「和声音」と「非和声音」に分けられます。そして非和声音はその特徴によってさらに色々な種類に分類されます。
例えば和音がとても分かりやすく左手に表れているブルグミュラーの「素直な心」。
右手の旋律も、ほとんど和音を構成する「和声音」によって成り立っていますが、「非和声音」もときどき出てきます。
1小節目の左手は「ドミソ」、Ⅰ度の和音です(トニック)。右手を見てみると、ソミレドソミレドと8分音符が連なっていますが、そのうち「レ」が「非和声音」です。さらに細かくいえば、前後の和声音であるミとドをつなぐ「経過音」という種類のものです。
2小節目の左手は「ドファラ」、Ⅳ度の和音です(サブドミナント)。右手は3つ目の「ソ」は、前後の和声音であるラとファをつなぐ経過音です。
3小節目はⅠ度に戻ります。右手の「レ」は同じく経過音、そして3拍目の「シ」も非和声音ですが、前後の主音ドに挟まれた「刺繍音」です(のちに説明する、倚音と取っても構いません)。4小節目にかけて同じように刺繍音と経過音が現れています。
5小節目では左手の和音は「シレソ」、Ⅴ度の和音になり(ドミナント)、右手は和声音と経過音によって進みます。
6小節目はⅠ度に解決しますが、右手の最初のファがいきなり非和声音で、これは倚音という種類のものです。
7小節目の左手は「レファ♯ド」。Ⅴ度調上のⅤ度(ドッペルドミナント)です。右手はまたしても1音目(シ)から続く和声音ラに対する倚音で始められています。
8小節目の左手は「ソシレ」(Ⅴ度)、ドッペルドミナントから解決してドミナントとなりました。経過音を挟みつつ終止して、V度調へ転調します。
ここまで、非和声音として経過音、刺繍音、倚音の3種類が登場しました。この3つは非和声音の中ではとくに曲の中でよく出てきます。
経過音と刺繍音は、いずれも和声音にはさまれた形で出てくるという特徴があるため、多くは弱拍に現れます。そのため、一般的にはあまり目立たせずに、軽く弾くと良いと言われることがあります。
一方、倚音は和声音にはさまれず、強拍に突然現れる非和声音なので、少し意外な音として聞こえます。そのため強調して弾かれることが多いです。実際バッハの時代の教則本にも「次に続く和声音より必ず強く弾きなさい」というルールがあったようです。
演奏のきまりはそれぞれありますが、先生に「こう弾きなさい!」と言われてしぶしぶやるよりも、この経過音は前後をなめらかにつなげて、この刺繍音は軽くかわいらしく、この倚音は少し重めに・・・自然とこんな風に弾きたくなるようハーモニーを感じられたら理想ですよね。
説得力のある旋律の歌い方とは和声に裏打ちされたものなのだなと感じます。素敵な演奏ができるように、和声の勉強も頑張りましょう♪
滝まりな
(センター南教室・ピアノ/絶対音感/ソルフェージュクラス担当)